知っておくと便利な新旧の温泉表示!
温泉は大きく分けると9種類の泉質に分けられますが、その9種類の泉質も含有成分によって、さらに細かく分けられています。
また、今と昔では泉質表示名が違うため、現在も併用されていることも多く、少しわかりにくい現状があります。そこで、ここでは、まず、新旧の泉質比較表をご紹介します。
どこの温泉がどんな泉質なのかを知りたいときの指標にしてみましょう。
温泉の泉質は実は細かく分けられている
温泉の泉質は大きく分けると9種類。それぞれの泉質も、実は、さらに細かく分けられています。
温泉は、どこの温泉も含まれている成分にはかなりの違いがあり、大まかな泉質をさらに細かく分類することができます。
温泉分析表は、その細かな成分を表示したもので、温泉の泉質を正しく知る目安になります。効能がある泉質を見極める上で、とても重要な指標というわけです。
また、今と昔では泉質表示名が違うため、現在も併用されていることも多く、少しわかりにくい現状があります。
温泉は行政の認可制!成分を表示するのは義務
「温泉」に行くと、必ずある「泉質表示」。実は、これは国が温泉施設に義務づけているもので、温泉地として営業している以上は必ず表示しなければならないものです。
そもそも、日本には、「温泉法」という法律があって、環境省が管轄しています。
実際の温泉施設の認可は、所轄の都道府県知事の管轄で、温泉法に基づいた成分分析を行い、開業しても10年に1度は泉質を調査しています。
この温泉成分は、国で定められた泉質分類法に基づいて表示されています。泉質は、大きく分けて9種類。それぞれの泉質も、さらに細分化された成分表示が定められています。
新旧の温泉表示がある理由
温泉法に基づいて、掲示が義務付けられている「泉質表示」ですが、表示する泉質には「新旧」があります。
その理由は、昭和54年に国際基準に基づいた成分表示に変わったため。基本的には、それまで使われていた泉質表示とは異なる名称に切り替わりましたが、実際には、今でも旧泉質表示と併用されているところも多いのが現状です。
また、新しい成分表示はわかりにくいという理由から、昭和57年になると、「掲示用泉質名」という「簡易版の泉質表示」も併用されるようになりました。
結果的に、掲示する泉質名にバラつきが出るようになり、実際のところ、私たちが判断する際には、わかりにくくなったという面も否めません。
新旧の泉質名がいまだに残っているのは、このような理由ですが、実際に「泉質重視」で温泉を選びたい人にとっては、結果的に両方を知っておくと便利な状態になってしまっています。
更年期に効く泉質の「新旧泉質名比較表」
効能を求めて泉質を選ぶなら、新旧の泉質名を知っておくととても便利です。
ここでは、更年期に効く「含鉄泉」「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」を中心にご紹介しましょう。
まだよく見かける「緑ばん泉」は、旧泉質名ですがれっきとした「鉄泉」です。新表示の温泉地が多いものの知っておくと便利です。
総称 |
旧泉質名 | 新泉質名 |
---|---|---|
含鉄泉 | 鉄泉 | 鉄泉 |
炭酸鉄泉 | 鉄U-炭酸水素塩泉 | |
単純炭酸鉄泉 | 単純鉄U泉(炭酸水素塩型) | |
含炭素-鉄泉 | 含鉄・二酸化炭素-カルシウム-炭酸水素塩泉 | |
土類炭酸鉄泉 | カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム鉄(U)-炭酸水素塩泉または、含鉄(U)-カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩泉 | |
含食塩ー土類炭酸鉄泉 | カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム・鉄(U)炭酸水素塩・塩化物泉または、含鉄(U)-カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉 | |
含芒硝ー土類炭酸鉄泉 | カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム・鉄(U)炭酸水素塩・硫酸塩泉または、含鉄(U)-カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉 | |
重曹炭酸鉄泉 | ナトリウム・鉄(U)-炭酸水素塩泉または、含鉄(U)-ナトリウム-炭酸水素塩泉 | |
含食塩-重曹炭酸鉄泉 | ナトリウム・鉄(U)-炭酸水素塩・塩化物泉または、含鉄(U)-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉 | |
含芒硝-重曹炭酸鉄泉 | ナトリウム・鉄(U)-炭酸水素塩・硫酸塩泉または、含鉄(U)-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉 | |
含食塩-芒硝-重曹炭酸塩泉 | ナトリウム・鉄(U)-炭酸水素塩・塩化物-硫酸塩泉または、含鉄(U)-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物-硫酸塩泉 | |
含土類-重曹炭酸鉄泉 | ナトリウム-カルシウム(・マグネシウム)・鉄(U)-炭酸水素塩泉または、含鉄(U)-ナトリウム・カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩泉 | |
含食塩-炭酸鉄泉 | ナトリウム・鉄(U)-塩化物・炭酸水素塩泉または、含鉄(U)-ナトリウム-塩化物(・炭酸水素塩)泉 | |
含硫酸塩ー炭酸鉄泉 | ナトリウム・鉄(U)-硫酸塩・炭酸水素塩泉または、含鉄(U)-ナトリウム-硫酸塩(・炭酸水素塩)泉 | |
緑ばん泉 | 鉄(U)-硫酸塩泉 | |
酸性緑ばん泉 | 酸性-鉄(U)-硫酸塩泉 | |
含ヒ素素緑ばん泉 | 鉄(U)-硫酸塩泉 | |
含明礬・緑ばん泉 |
アルミニウム・鉄(U)-硫酸塩泉 |
塩化物泉の場合は、新しい表示をしている温泉地のほうが多くなっています。塩化物泉にも、さまざまな種類がありますのでご参考にどうぞ。
旧泉質名 | 新泉質名 | |
---|---|---|
塩化物泉 | 食塩泉 | ナトリウム-塩化物泉 |
含炭酸-食塩泉 | 含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物泉 | |
強食塩泉 | ナトリウム-塩化物強泉 | |
弱食塩泉 | ナトリウム-塩化物泉 | |
含重曹-食塩泉 | ナトリウム・塩化物・硫酸塩泉 | |
含芒硝-食塩泉 | ナトリウム・塩化物・硫酸塩泉 | |
含芒硝-重曹-食塩泉 | ナトリウム・塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩泉 | |
含塩化土類-食塩泉 | ナトリウム・マグネシウム(・カルシウム)-塩化物泉 | |
含土類-食塩泉 | ナトリウム・カルシウム(・マグネシウム)・塩化物・炭酸水素塩泉 | |
含土類-石膏-食塩泉 | ナトリウム・カルシウム・塩化物・炭酸水素塩泉-硫酸塩泉 | |
含臭素-食塩泉 | ナトリウム-塩化物泉 | |
含ヨウ素-食塩泉 | ナトリウム-塩化物泉 | |
含臭素・ヨウ素-食塩泉 | ナトリウム-塩化物泉 | |
含ホウ酸-食塩泉 | ナトリウム-塩化物泉 |
二酸化炭素泉は、1種類のみ。わかりやすい表記で助かります。
旧泉質名 | 新泉質名 | |
---|---|---|
二酸化炭素泉 | 単純炭酸泉 | 単純二酸化炭素泉 |
関連ページ
- 更年期に効く温泉|更年期の不調に効く3つの泉質とは?
- 更年期のの不調に効く泉質は全部で3つ!その特徴をご紹介します。また、心の癒しには入った感じですぐわかる美人湯もおすすめ!女子に嬉しい温泉の質についていろいろご紹介します。
- 更年期に効く温泉|美人湯条件はph濃度?!「アルカリ」「中性」「酸性」泉
- 温泉にはさまざまな分類方法があり、「含有成分で分ける泉質」以外にも、イオン濃度で分ける方法があります。いろいろな温泉の成分分析表に、「ph濃度」が表示されていますが、この「ph」がイオン濃度を表す数字です。 いわゆる美人湯といわれている温泉は、「アルカリ泉」か「酸性泉」が多く、どちらもお肌に与える特有の効能があります。
- 更年期に効く温泉|温泉成分は浸透圧で変わる?!「浸透圧」による違い
- 温泉は、「泉質」や「ph濃度」以外に、「浸透圧」による違いもあります。 この「浸透圧」というのは、いったい何なのでしょうか?詳しく解説していきましょう。
- 更年期に効く温泉|美人湯ってどんなお湯?「美人湯の条件」とは?
- 美人湯と呼ばれる温泉は、どんな特徴があるのでしょうか? ここでは美人湯の泉質、特徴をご紹介します・
- 更年期に効く温泉|熱い湯とぬるいお湯、更年期によいのはどっちのお湯?
- 温泉は、「泉質」以外でも「体に及ぼす効能」が変わります。 まず、知っておきたいのは「お湯の温度」。 熱いお湯に入る場合と、ぬるいお湯に入る場合とでは、体の中で違う反応が起こります。 更年期の女性にとって、よいお湯とはどちらのお湯なのでしょうか?
- 更年期に効く温泉|温泉の水を飲むと効果があるってホント?
- 温泉地に行くと、「飲料用の温泉水」を売っていたり、お風呂にも「このお湯は飲用できます、できません」と書いてあるのを目にすることがあります。 温泉水は、本当に飲むと効果があるのでしょうか? ここでは、飲用温泉水についての基礎知識をご紹介しましょう。
- 更年期に効く温泉|大きなお風呂は心の疲れを癒す効果がある
- 温泉には、身体的な不調を緩和する効能がありますが、実は、それだけではありません。身体だけではなく「精神的な不調」まで癒す力があります。 とくに、露天風呂や大きな浴場がある温泉地は、リラックス度を表すα波が増加し、精神的な不調を緩和する効果も高く、不調緩和に役立ちます。
- 更年期に効く温泉|9種類ある泉質!その違いと効能とは?
- 温泉は、大きく分けて9種類の泉質に分けられています。 主に、更年期障害に効く泉質は、3種類(「含鉄泉」「ナトリウム塩化物泉」「炭酸泉」)ですが、そのほかの温泉にも、更年期に出る症状に合うものも多いのです。 温泉選びは、施設ごとの泉質をチェックするのも、楽しみのひとつ。まずは、9種類の泉質について、知っておきましょう。
- 温泉ってどんなお湯のこと?療養泉の違いとは?
- 温泉と聞くと、「何とな〜く体にいい」イメージがしますよね。 昔から、温泉で病気を癒す「湯治(とうじ)」もありますから、当然といえば当然かもしれません。 でも、「地中から湧き出せば何でも温泉なの?」というと、実は、そうでもありません。 日本には、「温泉法」という法律があって、実は、温泉の定義が決まっています。 ここでは、温泉選びに役立つ「温泉の条件」について、ご紹介しておきましょう。
- 何だか気になる!「にごり湯」の種類と効能とは?
- 無色透明のお湯よりも、「にごり湯」のほうが、「何となく天然」感がしますよね。 「にごり湯」は、白色や茶色、ブルーやグリーンに見えるものもあって、実に多彩。 女子の疾患に役立つ「鉄泉」も、茶褐色のにごり湯の一種です。 ところで、この「にごり湯」。どんな種類があるのでしょうか? また、その効能とは? 詳しくご紹介していきましょう。
- 知っておきたい「源泉かけ流し」の底力!本当に良い温泉の見極め方
- ここに、興味深い書籍があります。 「源泉かけ流し、たった1%の真実」(ビッグサクセス刊)。 テレビ番組のプロデューサー・小森威展さんが書いた本で、長年にわたって、多くの温泉番組を手掛けてきた方です。 この書籍によると、「天然100%の温泉はたったの1%」というのです。 私たちは、温泉といえば、泉質の違いはあるものの、「天然のお湯」だと思いがち。 でも、実はそうではなく、「源泉かけ流し」でない限り、そのお湯は、塩素などによって変質した「温泉加工品」に過ぎないのだとか。 では、そもそも、「源泉かけ流し」とは、どういうものなのでしょうか? ホンモノの温泉を見極めたい方のために、「源泉かけ流し」の底力について、ご紹介していきましょう。